憩室炎の画像診断

憩室炎

►憩室自体の炎症を示唆する所見

・炎症を生じている憩室そのものの壁肥厚、造影効果の増強。

※憩室炎を起こしている憩室は同定できないこともしばしばある。

►周囲炎症波及を示唆する所見

①横方向

・周囲脂肪織濃度上昇(dirty fat sign)。

・結腸の粘膜下層の肥厚。

・周囲筋膜の肥厚。

②縦方向

・縦方向への結腸の粘膜下層の肥厚。

◎注意点

・炎症を起こしている憩室は同定できることもできないこともある。

・虫垂には基本的に炎症所見はない。

・3層構造を保った結腸壁の肥厚(憩室周囲の偏心性→全周性壁肥厚へと進展)。結腸壁肥厚は、5-15cmに及ぶことが多い。

・結腸癌の場合、3層構造が失われることがあり、鑑別のポイントとなる。

・15cm以上に及ぶ腸管の浮腫性変化は腸炎と考えた方が良い。

 ※特に5cm以下の短い限局的な結腸癖肥厚で、病変と正常な腸管の境界癌明確であれば、癌の可能性を考慮

・腸間膜内に穿通したり、穿孔したりすると腹腔内に遊離ガスを認めることがある。

・周囲に膿瘍形成することがある。

・小腸や膀脱などの周囲の臓器と痩孔を形成することがある。

・基本は保存的に加療されるが、穿孔や狭窄、痩孔形成を伴う場合には

外科的な切除がなされる。

◎3層構造

腸管浮腫を起こしたときに、粘膜下層は結合組織が疎であるため、

水が溜まりやすい。そのため粘膜下層の低吸収域が肥厚して目立つ

◎粘膜下層の肥厚

・腸管の早期虚血や炎症性疾患、再灌流、アレルギー反応が起こると、血管内圧上昇と低酸素による血管透過性の充進により組織浮腫が生じる。

・この浮腫は主に疎な組織である粘膜下層に生じ、造影CTでは3層構造の中間層の肥厚として描出される。

・この腸管を輪切りで見ると、同心円状や矢頭状に見える。