降圧薬・血管拡張薬:ニカルジピン、ニトログリセリン、ニコランジル

◎ニカルジピン(ニカルジピン®)

10分で効果発現、作用時間は2時間以上

◯ニカルジピン使い方

ニカルジピン®(10mg/10mL)→5A:50mg/50mL

2.5~5mL/時でスタート、最大15mL/時まで

◯使用する場面

術後高血圧、脳出血による高血圧、後負荷異常によるうっ血性心不全(冠動脈拡張薬との併用)

◯ニカルジピンの作用部位

冠動脈:血管拡張、心筋への酸素供給量↑

細動脈:血管拡張、後負荷↓、心筋の酸素消費量↓

末梢静脈:静脈拡張はわずか

 

◎ニトログリセリン(ミオコール®、ニトログリセリン®)

◯ニトログリセリンの使い方

0.5mg/mL

2mLフラッシュし、1~3mL/時でスタート

効果が出るまで5分毎に0.5~1mL/分ずつ増やす

◯使用する場面

前負荷異常のうっ血性心不全、不安定狭心症などの急性冠症候群

◯ニトログリセリンの作用部位

心筋細胞:前負荷↓、心筋の酸素消費量↓

冠動脈:血管拡張↑、心筋への酸素供給量↑

末梢動脈:普通の投与量では動脈拡張はわずか、大量投与で後負荷↓↓

末梢静脈:前負荷↓↓↓、心筋酸素消費量↓

 

◎ニコランジル(シグマート®)

◯ニコランジルの使い方

シグマート®(12mg/1V)10Vを60mL0.9%食塩水で溶解し、2mg/mLとする。

2~4mLフラッシュし2mL/時でスタート

◯使用する場面

急性冠症候群および左心不全、両心不全

とくに血圧低下傾向の心不全の場合(ニトログリセリンを使うには血圧低下が心配なとき)に使う

◯ニコランジルの作用部位

細動脈:血管拡張、後負荷↓

細静脈:血管拡張、前負荷↓

冠動脈:主に細動脈を拡張、心筋収縮力↑↑

ニトログリセリンとの違いは、冠血流量の増加に比べて、前負荷・後負荷を下げる作用が強くないため、血圧低下を起こさないこと。またニトログリセリンと異なり長時間使用でも耐性が起こりにくいと言われている